株式市場探検

日本株の売買・研究の備忘録。結構テキトーです。

時価総額と投資家の損益の関係

時価総額とは何か】

時価総額の上昇≠増加分のキャッシュまたはクレジットの流入

時価総額の下降≠減少分のキャッシュまたはクレジットの流出

 

時価総額とは、いわば、見えているのに触れない「お金のようなもの」。時価総額全額をキャッシュとして持ち出すことはできず、少しずつしか換金できない。換金すると、その売りがまた時価総額を押し下げるのである。

 

 時価総額は市場で多数の目に晒され、付けられた会社の時価。資産や利益や将来性などを総合評価されている。PBR=1で解散価値なので、1以上だと、ブランドや将来性、ビジネスモデルなどの無形価値が時価として評価されていることになる。しかし、無形価値は無形であるが故に、積み木崩しのように崩れる脆さももっており、ちょっとした気の緩みであっという間に消滅する。

 

※無形価値は「のれん」や「超過収益力」とも呼ばれる。

(無形価値が崩れ去る暴落の例)→突発的に生じるものなので、予想できない。

飲食店会社の食中毒事故、部品会社の欠陥問題、医薬品ベンチャーの実験失敗、携帯会社の架空契約疑惑など。

 

時価総額と投資家の損益の関係】

次のような例を考える。

ABCDさんが共同で会社を創業したとする。発行株数は4株。

ABCDさんはそれぞれ100円で1株ずつ出資した。400円のキャッシュが会社に流入した。

時価総額は400円となる。

創業してから半年が経ったある日、新たにEさんが、「この会社は将来性があるに違いない。なんとか株を譲ってくれないか。」とAさんに頼み、Aさんから150円で買うとする。

Aさんは100円出資してEさんに150円で売りつけることで譲渡益50円を得た。この譲渡益はどこから生まれたものか。これは、高値で株を買ってくれたEさんによって生まれたものである。

直近の取引値段は150円のため、現在値は150円。時価総額は上がり、4株分で合計600円となる。

このとき、現在値は150円なのでBCDさんは50円の含み益となっており、BCDさんはさぞ喜んでいることだろう。

 

時価総額600円は、ABCDさんが出資した400円以外に200円がプラスされている。

この200円というのは、Aさんが得た譲渡益50円+B,C,Dさんの含み損益50円×3=150円 に一致する。

つまり、時価総額と新規発行株を買ったキャッシュとの差額は、過去から現在において、その銘柄の株式の売買に関わった人たちすべての含み損益と譲渡損益の和に一致する。

 

時価総額=新規発行株を買ったキャッシュ+(ΣΣ含み損益+ΣΣ譲渡損益)(0)

時価総額ー新規発行株を買ったキャッシュ=ΣΣ含み損益+ΣΣ譲渡損益 (1)

 

ここで、ΣΣの左側は、(t=0)から現在(t=T)までという時間軸を、右側は、時間tにおいて、その株式の売買に関わったすべての人間を意味する。

ΣΣ含み損益=ΣΣ含み益ー|ΣΣ含み損| (2)

ΣΣ譲渡損益=ΣΣ譲渡益ー|ΣΣ譲渡損| (3)

 

 

 時価総額は市場で多数の目に晒され、付けられた会社の時価であり、資産や利益や将来性などを総合評価されている。ここで、その総合評価が短期的には変わらずに、価格だけが投機的な売買によって変化していると仮定☆する。この投機的な売買によって得なポジションとなるのはどのようなタイミングの時であろうか。

再度、(1)に戻る。時価総額=Cとおく。また、新規発行株を買ったキャッシュをNとおく。すると、次のようになる。

 

CーN=ΣΣ含み損益+ΣΣ譲渡損益 (4)

 

 

ΣΣ譲渡損益=ーΣΣ含み損益+C-N

ΣΣ譲渡益ー|ΣΣ譲渡損|=-ΣΣ含み益+|ΣΣ含み損|+C-N

ΣΣ譲渡益+ΣΣ含み益=|ΣΣ譲渡損|+|ΣΣ含み損|+C-N (5)

 

となる。

ここで、総合評価が短期的には変わらない時間単位1を進めたt=T+1での(5)の式は、☆の仮定より次のようにあらわすことができる。

 

Σ’Σ譲渡益+Σ’Σ含み益=|Σ’Σ譲渡損|+|Σ’Σ含み損|+C-N (6)

 

ここで、Σ’Σの左側は、(t=0)から現在(t=T+1)までという時間軸を、右側は、時間tにおいて、その株式の売買に関わったすべての人間を意味する。

 

(6)-(5)より、

Σ’Σ譲渡益ーΣΣ譲渡益+Σ’Σ含み益ーΣΣ含み益=|Σ’Σ譲渡損|ー|ΣΣ譲渡損|+|Σ’Σ含み損|-|ΣΣ含み損| (7)

 

ここで、t=0~t=Tまでの譲渡損益と含み損益は共通のためキャンセルされ、t=Tからt=T+1の時間単位1あたりに取引に参加したすべての人間について、(7)式は次のようになる。

 

Σ譲渡益+Σ含み益=Σ譲渡損+Σ含み損 (8)

 

現実には、ある株価について、適当な時間軸を区切った時には、(8)式は成立しない。これには以下の理由が考えられる。

1.その時間軸で総合評価が上がっている

2.その時間軸で総合評価が下がっている

3.その時間軸で総合評価は変わっていないが、株価がまだ追いついていない。つまり、時間軸の選び方がゼロサムゲームになっていないということ。

 

結局、ここで出した結論は、「株価がゼロサムゲームになるとき、(8)式が成立しますよ。」ということで、なにも価値がない気もする。